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掲載日:2016.10.31
創立記念式典 式辞
創立記念式典 式辞
来る11月1日は、京華学園創立記念日です。京華学園は創立119周年、女子校は創立107周年にあたります。
私は毎年創立記念日に際して,京華学園の歴史に触れてお話ししてきました。今日は、戦後の民主主義が進む中での京華学園についてお話ししたいと思います。
日本は1945年に終戦した後、急速に民主主義的な変更がなされました。女子教育については、
・男女教育機会の均等や、
・高等教育機関の女子への開放、
・中等教育の男女同一化が推進されました。
京華学園では、当時の主事であった猪生謙二先生により、3L主義が提唱されました。3Lとは、
・Love(愛情)、
・Life(生命)、
・Liberty(自由)です。
そんな中で、京華は、旧京華中学・京華商業校・京華高等女学校が1948年に改組され、
新制の京華中学校・京華第二中学校・京華女子中学校、
京華学園高等学校普通科(男子部・女子部)
商業科(昼間部・夜間部)になりました。
高校普通科は、制度上同じ学校でしたが、校舎も授業もまったく別でした。しかし、生徒会やクラブ活動・職員会議・PTAは一緒だったそうです。
興味深いのは、一時的にではありますが、女子部から男子部への移籍が認められていたと言うことです。この制度に挑戦した女子はごく僅かでした。各学年2名から6名ほどで1950年から1954年の間だけで廃止になりました。その後、普通科が京華高等学校(男子部・女子部)に、商業科が京華商業高等学校に改組し、更に1960年に普通科女子部は京華女子高等学校として独立しました。理科実験室や美術室がある校舎はそのときに増設されたものです。
後に女子中高校長となられた富田佑先生は、移籍が認められていた時代を振り返って、「根本精神として男女平等は正しいと信じながらも、共存には矛盾があった」と述べています。
当時、男女の高校卒業後の志望に大きな差がありました。進学を中心とする男子に対して、進学は4分の1以下で、就職や家事手伝いがほとんどの女子が同じ教室で同じ授業を受けて評価されるのには色々と困難な点があったようです。
でも、当時女子部から男子部に移籍した女生徒の一人が昨年学校を訪れてくださり、当時の様子を語ってくれました。男子優位の時代にも勇敢にチャレンジした本校の先輩を誇りに思い、感動しました。
その頃から60年以上経過した今、女性の社会進出がキーワードになっています。政界でも財界でも女性の活躍が目立っています。また、国際的な活躍をする女性も年々増えています。
そんな中、京華学園でも女子校の進学率はほぼ100%、4年制大学への進学率は7割~8割になっています。統合部でも女子がリーダーシップを発揮していますし、学業成績も優秀な女子が増えてきています。
先日の京華祭では図書委員会のビブリオバトルや3校合同企画が進みました。ニュージーランドターム留学の事前レッスンは、男子校と共同で行われています。
京華学園3校は、今後もその特色ある教育を推進しつつ、共同できるところは広げていけると思います。
京華学園は、来年創立120周年を迎えます。人で言えば大還暦です。十干十二支を一巡し、生まれたときの干支に戻る60歳を還暦と言いますが、それを2周することになります。これは大変な偉業で東京には私立学校はたくさんありますが、これだけの伝統校は数少ないです。
来年11月13日には、東京国際ファーラムの一番大きい5000名を収容できる大ホールを使って、盛大な記念祭を行います。そこには学園の全生徒・教職員はもとより、同窓会やPTAなど関係者が一同に集い、学園の120周年をお祝いします。文化行事も検討中です。皆さんもどうか期待してください。
学校は、そこに在籍する生徒や卒業生がどんな生き方をするか、どのように社会貢献するかによって真価が問われます。皆さんにはこの伝統ある学園に誇りを持ち、これからの社会に必要とされるグローバル感覚やコミュニケーション能力、問題解決力を身につけて、社会に羽ばたいてもらいたいと願っています。
11月1日の創立記念日は授業を休講としますが、京華学園の歴史を思い起こし、各々が今と将来を考える意義ある一日にしてください。 以上
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